PC Gamerによって行われたValveのCS2開発チームへのインタビュー記事の翻訳です。10月28日の記事なので内容は少し古いものとなっています。
――PC Gamer:CS:GOはそのライフスパンを通じて大きく変化し、ValveはCounter-Strike 2のためにその学びを大いに活かしたと思います。CS:GOは過去のバージョン(CS1.6やCS:S)よりも変化に富んだゲームになりましたが、根本的な焦点はそのコアな競争モードに当てたままでした。これは自然に起こったことですか、それとも最初から10年プロジェクトとして考えられていたのですか?
Valve:まず、CS:GOは特定のタイムラインを念頭に置いてリリースされたわけではありません。10年間でどれだけ大きなユーザーを集めることができるかを予測することはできませんでした。しかし、CS:GOは最初から長期的な開発に取り組む計画があり、CS2への移行もCounter-Strikeへのより広範なコミットメントから生まれた決定でした。CS:GOは素晴らしいゲームでしたが、その開発は古い技術によって根本的に制限されていました。
Valve内の他のゲーム開発部門がSource 2エンジンでの開発に移行していくのを見て、CSをこれからもサポートし続けるためには、新しいエンジンでゲームを書き直すという難しい作業を行うことが最良の方法であることが明らかになりました。新しいエンジンについて説明するには、グラフィック・ゲームプレイなどCS:GOとCS2の間のすべての違いを具体的に比較することもできますが、実際のところ最大のアップグレードは、これから何年もCSをサポートし続けることができるという事実です。
――「2」という数字は、とても大きな意思表示であるように感じます。Counter-Strikeの23年の歴史で最初の直接的な続編として、本タイトルを区別した意図はなんですか?
CS2はCounter-Strike史上最大の技術的発展です。このゲームはまったく新しいエンジン上で構築され、ほぼすべてのシステムに根本的な変更が加えられています。すべてのマップが新しいエンジンで再作成され、すべての武器モデル、すべてのアニメーション、すべての音が新しくなりました。プレイヤーがマッチを見つける方法さえもアップデートされ、今ではプレイタイムの約半分がPremierモードです。CS:GOから多くの変更があったため、もはや同じゲームとは考えられませんでした。これはスピンオフではなく、Counter-Strike本編における次世代の開発サイクルです。
――CS2がリリースされて以来、出会い頭の射撃ヒット判定が期待通りに行われていないクリップがよく共有されています。このようなクリップについてどう思いますか? CS2のサブティックサーバーは意図したとおりに機能しているのでしょうか?
まず断っておくと、それらの例は厳密にはサブティックサーバーの問題ではありません。それらは「下を向いているときのアニメーションとヒットボックスの不一致」というバグのため起こっているものですが、重要なことは、これらのクリップがバグを特定し、迅速にユーザーに修正を提供するのに役立ったということです。バグが発生してしまうのは残念ですが、詳細なコミュニティのフィードバックは非常に役立ちます。
サブティックの目標は、CS:GOにおける64・128ティックよりも優れた、ティックに依存しない一貫した体験を提供することです。ほとんどの場合システムは意図した通りに機能していますが、より多くの人々に機能を試していただくにつれて、目標に達していないシステムについてのフィードバックが得られることがあります。CSコミュニティは、当然ながら自分たちの体験に影響を与える違いやバグに敏感であり、私たちはそれらに対処するために懸命に取り組んでいます。
――CS2の最初の1年の計画は何ですか?
新しいリリースの最もエキサイティングな要素の1つは、プレイヤーがゲームにどのようにアプローチするかを見ることです。彼らは私たちの優先事項と将来の見通しを根本的に変えます。例えば、Premierは今やCounter-Strikeで最も人気のあるモードになっていますが、これは予想していませんでした。ですので、緊急のプレイヤーニーズに対応する能力と、私たちがリリースしたい他の多くの機能リストのバランスを取りながら、最初の1年の計画を柔軟に保っています。
――ゲームコミュニティではNFTへの大きな反発があり、SteamではNFTや暗号通貨を特徴とするゲームはもちろん許可されていません。NFTには価値のあるゲーム内アイテムを1つのゲームから次のゲームに持ち込むことができるという概念が期待されていますが、Counter-Strike 2はおそらくこれを実際に達成した最初のゲームです。プレイヤーが異なるゲーム間でインベントリーを維持するという概念をCS2が実証していることについて、どう思いますか?
開発の初期から、CS2は最終的にCS:GOを置き換えるものとなると分かっていましたし、プレイヤーができるだけ多くのCS:GOのスキルとアイテムを保持できるようにしたかったのです。そこで、開発プロセスの初期に、CS:GOのすべての武器スキン、ステッカー、エージェント、ミュージックキットなどのアイテムをCS2でサポートする作業を開始しました。古いアイテムを新しいゲームの質感に合わせることは簡単ではない課題でしたが、それがプレイヤーにとってどれほど重要かは理解していました。私たちにとってアイテムを進化させることは、ゲームとその後継作との間を橋渡しするための、ユーザーに寄り添うための方法の一つでした。
Counter-Strikeのアイテムの文脈でNFTについて語られることがありますが、正直なところ私たちにはそれを語るほどNFTに関する十分な知識がありません。私たちはただ、プレイヤーが気にかけることについて最善の判断を下そうと努めているだけです。
――ローンチは成功したと感じますか?振り返って、限定テスト中に行えばよかったことはありますか?
ローンチは圧倒的な成功で、プレイヤー数は番狂せな数値となりました(CS2のサイトでは、ゲームには3,150万人/月のユニークプレイヤーがいることが示されています)。信じられないかもしれませんが、最大の成功の1つは限定テストを実施したことでした。限定テストはローンチに向けた意思決定のための、非常に貴重なフィードバックを得ることができました。ですので、私たちは初期開発から限定テスト、そしてローンチへのプロセスにとても満足しています。ただ、CS2のシステム要件に関するコミュニケーションはもう少し上手く処理できたと思います。影響を受けるプレイヤーには早い段階で知らせるべきでした。(訳注:おそらくMac OS非対応に関する話)
限定テストをもっと長くすべきだったかどうか、議論があることは知っています。実際、もっと期間があれば、さらにいくつかの機能をローンチ時に含むことができていました。しかし、限定テストはCS:GOと並行していたため、時間が経てば経つほど、プレイヤーはどちらのゲームを選択し優先すればいいかが明確でなくなり、結果としてコミュニティの縮小に繋がりかねません。そして、全員が同じゲームをプレイしていなければ、ネットワーキング、パフォーマンス、コアゲームプレイなど、最も重要なシステムに関して大きな進展を遂げることはできませんでした。ローンチして以来、私たちはカジュアルプレイヤーからプロまで、あらゆるレベルのプレイヤーから新しいバグ、動作、問題に関するフィードバックを得ています。
実際にゲームのローンチによりCS2の改善のペースが大幅に加速したので、たとえそれが不時着的であったとしても、ローンチした時期は適切であったと思います。結局のところ、これはCS2が1年後、5年後、10年後に皆が望む場所に到達するための最も速い方法だと考えています。
――ゲーム内のすべてのライフルのスプレーをわずかに減らしました。なぜですか?
CS:GOでは、プレイヤーが64ティックと128ティックのサーバーに分かれていました。ティックレートは、グレネードのシミュレーションや武器のスプレーパターンなど、いくつかの方法で影響を与え、プレイヤーはこれら2つの環境間での切り替えに困難を抱えていました。
CS2の目標の1つは、これら2つのグループを統一することでした。サブティックサーバーはその目標に向けた重要なステップです。サブティックサーバーはゲームプレイをティックの境界から切り離すことで、私たちが望む特定の基準に向けてゲームプレイを微調整することができます。話を戻すと、スプレーパターンは64ティックのCS:GOに比べてわずかに減少しているように見えます。基本的に可能な限り128ティックの動作を模倣しようと試みているため、現在のCS2のスプレーパターンは128ティックレートのCS:GOのサイズとほぼ同じになっています。
――CS2の存続期間中に新しい武器を導入する予定はありますか?
はい。現在は最優先事項ではありませんが、CS2に新しい武器を導入する計画は確かに存在します。私たちは常にプレイヤーにゲーム内でより面白い決定を下す方法を提供することを模索しており、通常、プレイヤーが状況に対処するための適切なツールを持っていないか、1つか2つのツールしか利用できないケースを見ています。どこでゲームプレイが陳腐になっているか?どのような武器が現状を変えるか?
CS:GOの10年間で、新しい武器をゲームに導入する方法について、時折痛い教訓を学びました。私たちは将来的な武器の追加をどのように取り組めばよいかを理解していると思いますし、CS2のカスタマイズ可能なロードアウトを使用することで、武器の導入はさらに簡単になるはずです。
――これまでのCS2のリリースはゲームの競争面に焦点を当てています。前のゲームで人々が好きだったものの多く、例えばArms Raceのようなモードや特定のコミュニティマップ(Surfなど)はまだ登場していませんが、今後の計画はどのようになっていますか?
それらのモードは忘れられていません!私たちは人気のあるゲームモードを再導入し、他のものも探求する予定です。とはいえ、すべてのゲームモードはそのルールに関係なく、堅固なコアゲームプレイに基づいています。したがって、短期的にはプレイヤーが圧倒的な時間の大部分を費やすスペースに開発を集中させています。それはトレードオフであり、他のゲームモードを主に楽しんでいたプレイヤーにとっては理解できるほどのフラストレーションですが、CS2の長期的な成功にとってはこれが最善のアプローチだと信じています。
――Dust 2はなぜこれほど長く生き残っていると思いますか?この質問はほとんど冗談のようなもので、非対称性などという簡単な答えがありますが、このマップがFPSを象徴するマップとなったのは何が理由だと思いますか?
Dust 2は競争的なCSマップの「公式」を完璧に理解しています。爆弾設置場所とチームのスポーン地点の間の距離が適切であり、戦術を変えるための十分なルートがありますが、コミットされないほど多くはありません。それはミニマリストで初心者に優しいものであり、スキルを披露するための完璧なキャンバスです。Dust 2以前に作られたマップは競争的にはうまく機能せず、それ以降のマップはすべてDust 2に影響を受けています。
――現代の主流のFPSは「エイムダウンサイト(ADS)」の射撃がデフォルトですが、CSではサイトを備えた銃だけがADSを行うことができます。CS開発チームは射撃メカニズムの基本を根本的に変えることを検討したことがありますか、それとも現状の古典的なメカニズムがさらに10年間持続すると考えていますか?
私たちはまず「ADSはどのような問題を解決するのか、そして私たちがその問題を抱えているかどうか?」と考えます。コンソールでは、ADSはコントローラーでの狙いをつける難しさに対する素晴らしい解決策です。敵に対するオートエイムスナップをADSのアニメーションによって自然に見せることができ、コントローラーの感度を減らして狙いをつけやすくすることができます。しかし、それらはPCプレイヤーが抱えるゲームプレイ/入力の問題ではありませんし、より重要なことは、このことに関してプレイヤーが何か懸念を表明しているわけではないということです。ですので、CS2で何かを変更する計画はありません。
――すべてのCounter-Strikeマップに必要な3つの重要なことは何ですか?
プレイヤー、プレイヤー、そしてプレイヤーです。すべての素晴らしいCounter-Strikeマップは、素晴らしくないCounter-Strikeマップとして始まりましたが、その違いは常にプレイヤーのフィードバックにありました。私たちがマップでどれだけ内部テストを行っても、何百万ものプレイヤーが何百万ものスモークを投げたり、あらゆる考えられる面でジャンプしたりすることによるフィードバックとは比べ物になりません。そのフィードバックは即座にマップをより良くします。
そして、私たちのチームを超えて、最も成功したコミュニティマップメーカーは、彼らの初期のアイデアを迅速にプレイヤーの手に渡し、彼らのフィードバックに基づいて反復することに優れています。私たちは彼らのマップをできるだけ多くのプレイヤーに見せるよう努め、彼らがCS2のために何を作り出すかを見るのが待ちきれません。
――CS2のリリースにより、アイテムのコミュニティマーケットはどのように反応しましたか?アイテムマーケットで特に驚いたデータや変化に気づきましたか?
一般的に、私たちは新しいものをリリースしようと考えているとき、またはプレイヤーの好みを理解しようとするときにのみ、マーケットの価格を見ています。プレイヤーのアイテムへの興味は多くの理由で時間とともに変動するので、一時的な変化についてはあまり深く考えないようにしています。そして、CS2リリースに向けて進んでいる間、私たちはゲームの他の分野に集中していたので、マーケットで多くの興味深いことが起こっていたかもしれませんが、私たちは注意を払っていませんでした。
――CS2における、あまり注目されてはいないが、ゲームの長期的な健全性に最も重要な変更は何ですか?
Source 2の基盤となる、より良いツールたちです。それはCS2のすべてのコンテンツを更新し、改善する方法です。そして、これらのツールは現在、Counter-Strikeコミュニティのすべてのアーティストが利用できます。ツールは大きく取り上げられるものではありませんが、今後数年間にCS2を形作るすべてのコミュニティコンテンツの鍵です。
――CS:GOの存続期間と開発を振り返って、最大の成功と最大の誤算は何でしたか?
CS:GOでは多くの実験を行い、最も成功した実験は最初のマッチメイキングの導入でした。CS:GOにスキルベースのマッチメイキング、公式の5v5マッチ、可視化されたスキルグループを導入したことは、ゲームとより広範なCSコミュニティにとっての転換点でした。それはすぐに最も人気のあるCounter-Strikeゲームモードとなり、プレイヤーの維持に大幅な増加をもたらしました。その時点から、CS:GOのプレイヤーベースは信じられないほどの速度で成長し始めました。
誤算?はたして何ページ書けるのでしょうか?私たちは数年にわたって数多くの誤算を犯しました。通常、これらはコミュニティの意見を聞き、彼らのニーズを理解するという私たち自身のプロセスに従わなかったことから来ていましたが、時には最初からあまり良くないプロセスを持っていたこともありました。
例えば、R8ピストルを導入したとき、いくつかの重大なバグがありました。これらのバグは翌日に修正されました(そして、その武器のダメージはその翌日に下げられました)が、その銃がすべてのゲームモードで導入されたため、その期間はすべての人に影響を与え、大変な混乱を引き起こしました。R8から学んだ多くのことの中で、新しい武器(または大きな変更を加えた武器)を配布する際にはより慎重になり、それらをどこでも利用可能にする前にプレイヤーにテストさせるようになりました。
――10年後、CS2はどう変わっていると予想しますか?
10年後、CS2は見違えたものになるとみんなが期待すべきです。CS:GOがどれだけ変わったかを見てください!しかし、CS:GOの最終形態が10年間の実験の集大成であったように、CS2の未来も固定されていません。
私たちが実現しようとしている特定のビジョンはありませんが、多くの年にわたって実行し続けたいプロセスがあります。ゲームとその驚異的なコミュニティが持つすべての機会を探求し続け、新しいアイデアを実験し、CS2をすべてのFPSファンの居場所とするために、これからも必要な困難な作業を続けていきます。
Source: Exclusive interview: Valve on the future of Counter-Strike 2 | PC Gamer
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